会社の1期目の決算と申告|設立初年度の期限・手順と赤字でもかかる税金
1期目の決算は、手順も期限も初めてづくしです
会社を設立して事業が回り始めると、次に来るのが最初の決算です。個人事業の確定申告とは提出先も書類も違い、しかも最初の事業年度は設立日から始まるため、1年に満たない事業年度になることがほとんどです。「決算日のあと何をすればいいのか」「赤字なら税金はかからないのか」と、決算日が近づいてから相談に来られる方も少なくありません。中でも多いのが、会社を設立する前に使ったお金をどう扱えばよいかわからない、というお悩みです。
1期目の決算は、その後の毎年の決算の土台になります。帳簿の付け方や勘定科目の使い方を最初の年に整えておくと、2期目以降の作業がかなり楽になります。この記事では、決算日から申告までの期限、決算で行う作業、赤字でもかかる税金、1期目だけの注意点を順に整理します。設立直後にやっておく準備については、会社設立後すぐにやるべき税務・経理の準備リストもあわせてご覧ください。
決算から申告までの期限
原則は決算日の翌日から2か月以内
法人税の確定申告書は、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内に提出し、同じ期限までに納税します(出典:主な国税の納期限(国税庁))。たとえば3月末が決算日なら、期限は5月31日です。消費税の課税事業者であれば、消費税の申告期限も同じです。
申告期限を延ばせる場合
定款で「定時株主総会は事業年度の終了後3か月以内に開く」と定めているなど、2か月以内に決算が確定しない事情がある会社は、届け出ることで申告期限を1か月延ばせます。延長の申請書は、延長を受けたい事業年度の決算日までに出しておく必要があります(出典:申告期限の延長の特例の申請(国税庁))。ただし延ばせるのは申告書の提出期限で、2か月を過ぎてから納めた税金には利子税がかかります。1期目は、延長を使わずに2か月以内で終わらせる段取りを組むほうが確実です。
提出先は3か所
会社の申告は、国と地方で提出先が分かれます。
| 税金 | 提出先 |
|---|---|
| 法人税・地方法人税・消費税 | 税務署 |
| 法人県民税・法人事業税 | 滋賀県の県税事務所 |
| 法人市民税 | 本店がある市役所・町役場 |
期限はいずれも原則として決算日の翌日から2か月以内です。個人事業のときは税務署に出せば住民税や事業税にも情報が回りましたが、会社はそれぞれに申告書を出す必要があります。
決算で行うこと
預金・売掛金・借入金の残高を合わせる
最初に、決算日時点の預金通帳の残高と帳簿の残高が一致しているかを確かめます。取引先からまだ入金されていない売上(売掛金)、まだ支払っていない経費(未払金)、借入金の残高も、請求書や返済予定表と突き合わせます。設立初年度は、個人の口座から会社の経費を払っていたり、その逆があったりして、ここで時間がかかることが多いです。
在庫と減価償却
商品や材料の在庫がある業種は、決算日の在庫を数えて金額を出します。10万円以上のパソコンや車、設備を買っている場合は、減価償却の計算も必要です。1期目が1年未満の場合、減価償却費は使い始めた月からの月数で計算します。
設立前の立替と役員報酬の整理
設立前に社長が個人で払った定款認証の手数料や登録免許税、開業準備の費用は、会社の経費(創立費・開業費)として計上できます。社長が立て替えたお金をどう処理したかも、決算で整理します。役員報酬は毎月同じ額で支払っていることが、経費にするための条件です。途中で金額を変えていないかも確認します。
株主総会で決算を承認する
決算書ができたら、株主総会で承認を受けます。社長1人が株主の会社でも、議事録を作って保管しておきます。申告書はこの承認を受けた決算書をもとに作ります。当事務所では会社設立の段階からお手伝いしているお客様が多く、設立前のお金の扱いや帳簿の付け方を最初から整えているため、決算の段階で大きな修正が必要になることはほとんどありません。
赤字でもかかる税金と、1期目だけの注意点
均等割は赤字でもかかる
法人住民税のうち「均等割」は、利益が出ていなくてもかかります。草津市に本店があり、資本金1,000万円以下・従業員50人以下の会社の場合、年額は次のとおりです。
| 税金 | 年額 |
|---|---|
| 法人県民税の均等割(琵琶湖森林づくり県民税2,200円を含む) | 22,200円 |
| 法人市民税の均等割(草津市) | 50,000円 |
| 合計 | 72,200円 |
1期目が1年に満たない場合は、会社があった月数で按分します。市民税の額は市町村によって違うので、本店のある市町村で確認してください。設立後にかかる税金の全体像は、会社設立後に必要な税金とは?で解説しています。
消費税は免税でも、インボイス登録をしていれば申告が必要
資本金1,000万円未満で設立した会社は、原則として1期目は消費税の納税が免除されます(出典:No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例(国税庁))。ただし、取引先の求めでインボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしている場合は、1期目から消費税の申告が必要です。2期目は、1期目の売上や給与の額によって免除されないことがあります。インボイス登録と消費税の特例については、インボイス2割特例の終了と法人成りをご覧ください。
赤字は青色申告なら10年繰り越せる
設立初年度は設備や準備の費用がかさみ、赤字になることも珍しくありません。青色申告をしていれば、その赤字(欠損金)を翌期以降10年間の黒字と相殺できます。そのためには、赤字の年に青色申告で申告し、その後も毎年続けて申告していることが条件です(出典:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁))。
1期目に間に合わせる届出
1期目から青色申告にするには、設立の日から3か月を過ぎる日と、1期目の決算日のどちらか早い日の前日までに承認申請書を出しておく必要があります。減価償却の方法や在庫の評価方法を届け出る場合は、1期目の申告期限までです(出典:No.5100 新設法人の届出書類(国税庁))。青色申告の申請が漏れていると、1期目の赤字を繰り越せません。決算日そのものの決め方は、決算月の決め方ガイドで解説しています。
1期目の決算を任せる場合
1期目は、帳簿の整理から申告書の作成、3か所への提出までを、慣れないまま期限内に終える必要があります。当事務所では、設立手続きと設立後の顧問契約をセットにした創業プランの特典として、はじめての決算・申告の報酬を30%割引しています。新たに事業を始める方が対象で、すでに個人事業として売上がある方の法人成りは対象外です。
決算だけを任せる場合でも、日々の記帳の仕方を年度の途中から整えておくと、決算の作業と費用が少なくて済みます。1期目からお手伝いしているお客様は、2期目以降も同じ流れで決算を迎えるため、特別な準備をしている感覚がないまま毎年の決算を終えられています。
まとめ
1期目の決算は、決算日の翌日から2か月以内に、税務署・県税事務所・市役所の3か所へ申告します。決算では、預金や借入の残高合わせ、在庫と減価償却、設立前の立替や役員報酬の整理を行い、株主総会で承認を受けます。
赤字でも均等割はかかり、草津市なら年間72,200円です。消費税は1期目は免税が原則ですが、インボイス登録をしていれば申告が必要です。青色申告の申請が間に合っていれば、1期目の赤字を10年繰り越せます。決算日の2か月前には準備を始めると、期限に余裕を持って申告できます。
