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資産管理会社とは|不動産オーナーが法人化する目安・3つの方式・相続対策まで解説

資産管理会社とは|不動産オーナーが法人化する目安・3つの方式・相続対策まで解説

家賃収入が増えてきたら「個人のまま」か「会社を作るか」

アパートやマンション、貸店舗などの賃貸不動産を個人で持っていると、家賃収入が増えるほど所得税の負担が重くなります。所得税は所得が大きいほど税率が上がる累進課税で、課税所得4,000万円超の部分には45%の税率がかかり、住民税10%と合わせると半分以上が税金になります(出典:国税庁タックスアンサーNo.2260 所得税の税率)。

一方、法人税の税率は中小法人の場合、原則として所得のうち年800万円以下の部分が15%、800万円超の部分が23.2%です(出典:国税庁タックスアンサーNo.5759 法人税の税率)。この税率差を利用して、不動産の収入を法人に移す受け皿になるのが「資産管理会社」です。

滋賀県内でも、草津・大津エリアの賃貸マンションオーナーや、郊外に貸地・貸家を複数持つ地主の方から、法人化のご相談は年々増えています。実際には、個人で税金が出始めたばかりのタイミングでご相談いただくことも多いのですが、法人を作ると設立費用や均等割、決算申告といった事務の負担が増えるため、その段階ではまだ法人化を検討する状況にないと判断されるケースが少なくありません。

 

資産管理会社を検討する目安はいつか

所得の目安

一般的に、法人化の検討ラインとしてよく使われる目安は次の2つです。

  • 不動産所得が継続して900万円〜1,000万円を超えている:課税所得900万円超の部分の所得税率は33%(住民税と合わせ43%)となり、法人税率との差が明確になります
  • 給与など他の所得が高く、不動産所得が上乗せで課税されている:会社員や開業医など本業の所得が高い方は、不動産所得がすべて高い税率で課税されるため、より少ない家賃収入でも法人化の効果が出やすくなります

ただし、法人には設立費用のほか、赤字でも毎年かかる法人住民税の均等割(最低7万円程度)や決算・申告の税理士費用といった維持コストがあります。税率差による節税額が維持コストを安定して上回るかが判断の分かれ目です。

税率差だけではない判断要素

家族に役員報酬を支払って所得を分散できるか、退職金の準備をしたいか、将来の相続を見据えているか。この3つの要素があると、法人化の効果は所得の目安より小さい規模でも出ることがあります。逆に、物件を数年内に売却する予定がある場合や、借入の残債が大きく金融機関との調整が必要な場合は、慎重に検討すべきです。

 

資産管理会社の3つの方式

資産管理会社には、法人が何を担うかによって3つの方式があります。どの方式を選ぶかで、法人に移せる所得の大きさとリスクが変わります。

1. 管理料徴収方式

個人が所有する物件の管理業務(入居者対応・清掃・家賃集金など)を法人に委託し、管理料を支払う方式です。仕組みが最も簡単で、不動産の名義を動かす必要がありません。ただし法人に移せるのは管理料部分だけで、実態のない高額な管理料は税務調査で否認されるリスクがあります。実際に管理業務を行っていることと、世間相場から大きく外れない水準に設定することが前提です。

2. サブリース方式(一括転貸方式)

個人が所有する物件を法人が一括で借り上げ、法人が入居者に転貸する方式です。法人は借上げ賃料と転貸賃料の差額を収入にできます。管理料徴収方式より法人に移せる所得は大きくなりますが、空室リスクを法人が負う実態が必要です。

3. 不動産所有方式

建物(または土地建物)そのものを法人が所有する方式です。家賃収入の全額が法人の収入になるため、所得分散の効果が最も大きく、相続対策としても有効です。新築物件をはじめから法人名義で取得するケースと、個人所有の建物を法人へ売却して移すケースがあります。既存物件を移す場合は、譲渡所得税・不動産取得税・登録免許税などの移転コストと、土地の貸借に関する税務(無償返還の届出など)の設計が必要になり、専門家の関与が事実上必須です。

実際の関与先では、まず管理料徴収方式を選ばれるケースが多いものの、法人へ移せる所得が管理料部分に限られるため効果は限定的です。逆に効果の大きい不動産所有方式は、移転にかかる登記費用や評価のリスクを検討した結果、最終的には選ばれないことも多いのが実情です。方式選びは節税効果だけでなく、コストとリスクを並べて判断することをおすすめします。

 

所得分散と相続対策の効果

家族への所得分散

資産管理会社では、配偶者や子を役員にして役員報酬を支払うことで、1人に集中していた不動産所得を家族に分散できます。それぞれが給与所得控除(最低55万円)を使えるうえ、1人あたりの所得が下がることで適用される税率も低くなります。役員報酬の金額によっては社会保険の加入義務が生じるため、報酬設計は一人会社の社会保険|役員報酬の決め方で解説している考え方と同様に、税と社会保険をセットで考える必要があります。

相続対策としての効果

不動産所有方式では、相続財産が「不動産そのもの」から「会社の株式」に変わります。家賃収入は法人に蓄積され、個人の財産が家賃で膨らみ続けることを防げます。また、株式は不動産と違って1株単位で贈与でき、生前に子へ計画的に移転しやすいのも利点です。なお、個人で貸付用不動産を持ち続ける場合の相続税評価は、2026年度税制改正の「5年ルール」で取扱いが変わります。詳しくはグループサイトの貸付用不動産の「5年ルール」解説記事をご覧ください。

 

設立前に知っておきたい注意点

  • 設立・維持コスト:株式会社の設立には登録免許税など約16万5千円〜20万円、合同会社なら6万円程度からかかります。費用の違いは合同会社は設立費用6万円で作れるで解説しています。設立後も決算申告・均等割などの維持コストが毎年かかります
  • 消費税とインボイス:住宅の家賃は非課税ですが、店舗・事務所・駐車場は課税売上です。物件構成によっては消費税の申告やインボイス発行事業者の登録判断が必要になります
  • 金融機関との調整:借入中の物件を法人へ移す場合は、金融機関の承諾と借換えの検討が必要です
  • 小規模企業共済など個人の制度:不動産経営が法人に移ると、個人事業として使っていた制度が使えなくなる場合があります

 

まとめ

資産管理会社は、不動産所得がおおむね900万円〜1,000万円を超えて続く方や、本業の所得が高い方にとって、所得分散と相続対策を同時に進められる仕組みです。方式は管理料徴収・サブリース・不動産所有の3つがあり、効果の大きさとリスク・手間はトレードオフの関係にあります。特に不動産所有方式は移転コストと税務設計の巧拙で結果が大きく変わるため、設立前のシミュレーションが欠かせません。物件の状況と家族構成に合わせて、無理のない形を選んでください。

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