2人以上で会社を作るときの出資比率と役員の決め方|50対50で起きること
友人や仕事仲間と会社を作るときに、最初に決めること
1人ではなく、友人や前の職場の同僚など2人以上でお金を出し合って会社を作ることを、共同創業といいます。共同創業でまず決めるのは、「誰がいくら出資して、株を何%持つか」と「誰が役員になり、報酬をいくらにするか」の2つです。
設立の時点では、仲の良い2人が「半分ずつ出そう」と決めることがよくあります。ただ、株式会社では、出資比率(持っている株の割合)がそのまま会社の物事を決める力になります。あとから出資比率を変えるには、株の売り買いや追加の出資が必要になり、税金がかかることもあります。最初の決め方が、その後の会社の運営を大きく左右します。
実際の共同創業のご相談では、設立前の段階で悩みを口にされる方はあまり多くありません。そのため当事務所では、2人で起業する場合のリスクや、関係が解消したときの対応について、様子を見ながらお話ししています。共同で設立したあとに関係がうまくいかなくなることは珍しくないため、これまでの経験も含めてお伝えするようにしています。
出資比率で決まること(株式会社)
株式会社では、原則として1株につき1つの議決権があり、株主総会で物事を決めます。会社法では、決める内容によって必要な議決権の割合が分かれています(出典:会社法(e-Gov法令検索))。
| 持っている議決権 | できること | 会社法 |
|---|---|---|
| 過半数(50%を超える) | 取締役の選任・解任、役員報酬の総額、配当など(普通決議) | 第309条第1項・第329条・第339条・第361条 |
| 3分の2以上 | 定款の変更、事業の譲渡、会社の解散など(特別決議) | 第309条第2項 |
| 3%以上 | 会計帳簿の閲覧の請求、株主総会の開催の請求 | 第433条・第297条 |
| 10%以上 | やむを得ない事情があるときに、裁判所へ会社の解散を求める訴え | 第833条 |
たとえば60%と40%で株を持つと、60%の人は1人で取締役を選べます。一方で、定款の変更などの特別決議は、40%の人が反対すると成立しません。3分の1を超える株を持っていれば、特別決議を止められるということです。
少ない割合でも、3%あれば会社の帳簿を見せるよう求めることができ、10%あれば裁判所に会社の解散を求めることができます。出資比率を決めるときは、「1人で決められること」と「相手が反対したら決められないこと」を表で確かめておきます。
50対50で起きること
2人が50%ずつ株を持つ場合、どちらも過半数を持っていません。意見が分かれると、普通決議でさえ成立しなくなります。
具体的には、次のようなことが決められなくなります。
- 取締役の任期が来ても、次の取締役を選べない
- 役員報酬の額を変えられない
- 利益が出ても配当を決められない
取締役が2人だけの会社では、日々の業務も取締役の過半数で決めるため、取締役どうしの意見が割れたときも同じように止まってしまいます。話し合いで解決できなければ、どちらかがもう一方の株を買い取るか、裁判所に解散を求めるかといった方法しか残らないこともあります。
法律上の解決策はあり、すでにもめている段階では双方が「別れたい」と考えていることが多いため、結果として話がまとまるケースも多くあります。それでも、当事務所では50対50の出資比率はおすすめしていません。
50対50にする場合は、意見が割れたときにどちらの判断を優先するか、誰が株を買い取るかを、設立前に書面で決めておくことが欠かせません。
合同会社の場合
合同会社では、出資した人(社員)が会社の業務を行い、社員が2人以上いれば、業務は社員の過半数で決めます(会社法第590条)。ここでいう過半数は、出資の額ではなく人数です。90万円と10万円を出した2人の会社でも、定款に何も書かなければ1人1票になり、2人の意見が一致しないと決まりません。
一方で、合同会社は定款で決め方を自由に変えられます。業務を行う社員を限る、代表になる社員を決める、出資の額に応じて決める、といった内容を定款に書いておけば、その定めに従います。利益の分け方も、定款に定めがなければ出資の額に応じて分けますが、定款で別の割合にすることもできます。
株式会社と合同会社の違いの全体は合同会社と株式会社はどちらで設立すべき?と合同会社とは?株式会社との違いや会社設立の流れで解説しています。
設立前に決めて、書面に残しておくこと
共同創業では、仲の良いうちに次のことを決め、創業者どうしの約束(株主間契約)として書面に残しておきます。
| 決めること | 中身の例 |
|---|---|
| 出資比率 | 誰がいくら出し、株を何%持つか。あとで追加の出資をするときの割合 |
| 役割と役員報酬 | 誰が社長になるか、それぞれの担当、役員報酬の額と見直しの時期 |
| 1人が辞めるとき | 辞める人の株を会社か残る人が買い取ること、買い取る価格の決め方 |
| 意見が割れたとき | どちらの判断を優先するか、外部の人に入ってもらうか |
| 株の譲り渡し | 会社の承認なしに株を他人に譲れないこと(定款の譲渡制限) |
役員報酬は、事業年度の途中で金額を変えると、法人税で経費にならない部分が出ることがあります。報酬を見直す時期も決めておくと安心です。役員報酬の決め方は会社設立後の役員報酬はいくらにすべき?で解説しています。
辞める人の株を買い取る価格は、トラブルになりやすい点です。出資した額で買い取るのか、そのときの会社の純資産で計算するのかを決めておきます。実際の価値より安い価格で買い取ると、買い取った側に税金がかかることもあるため、価格の決め方は税理士と一緒に確認しておくと確実です。
実際に、「もっと話し合っておけばよかった」というケースもありました。少しだけ出資した方が、最初は補佐の立場のはずだったのに、実際には仕事のほとんどを担うことになり、あとから出資比率や代表者を変えなければならなくなったというものです。設立前の取り決めは、それだけ大切です。
当事務所では、出資比率や定款の中身(株の譲渡制限、役員の任期など)を、設立前のご相談の段階で一緒に確認しています。定款の認証や登記の手続きは、提携の司法書士が行います。
まとめ
株式会社では、持っている株の割合で決める力が変わります。過半数で取締役の選任や役員報酬を、3分の2以上で定款の変更などを決められ、3分の1を超えれば特別決議を止められます。50対50では、意見が割れると取締役の選任も役員報酬も決められなくなります。
合同会社は、定款に定めがなければ人数の過半数で決めますが、定款で決め方を変えられます。どちらの会社でも、出資比率、役割と報酬、辞めるときの株の買い取り方を設立前に決めて書面に残しておくと、あとで意見が割れたときにも話を進められます。
