会社設立でも青色申告の申請を!個人だけではないメリットを紹介
青色申告は、個人事業主だけではなく会社を設立した法人にも適用があります。もちろん、個人と比べて内容は異なりますが、得られるメリットは多くあります。そこで本記事では、法人が青色申告の適用を受けるメリットについて解説します。
目次
会社を設立したら青色申告の届出を提出
法人にも個人と同様に「青色申告」があります。個人事業主と内容は異なりますが、適用することで多くのメリットが受けられます。具体的には以下の3つです。
- 欠損金の繰越控除
- 欠損金の繰戻し還付
- 少額減価償却資産の損金算入
また、詳細な期限については後述しますが、会社設立時の届出と一緒に青色申告承認申請書を提出できますので、忘れず手続きを行いましょう。
1. 欠損金の繰越控除
欠損金の繰越控除とは、当期に発生した赤字の金額を翌事業年度以降へ繰り越せる制度です。発生した年度により繰越期間が以下のように異なります。
平成30年4月1日前に開始した事業年度 | 繰越期間9年 |
平成30年4月1日後に開始した事業年度 | 繰越期間10年 |
2. 欠損金の繰戻し還付
欠損金の繰戻し還付とは、前期の黒字と当期の赤字を相殺し、納めている法人税を還付してもらえる制度です。前期に納めた税金を上限とし、預金口座に入金されます。そのため、資金繰りにも役立ちます。
3. 少額減価償却資産の損金算入
少額減価償却資産の損金算入とは、30万円未満の減価償却資産を法人税を計算するときに全額を損金として取り扱える制度です。取得価額が10万円以上であれば、毎年一定の金額を資産から減少させなければなりません。しかし、この特例を活用することで消耗品のような経費と同じように一括で経費にできます。
会社設立時に青色申告承認申請書を提出しないデメリット
青色申告承認申請書を提出しないからといって、何かペナルティが発生するわけではありません。しかし、メリットを考慮すると提出しないという選択肢はないと言えます。提出のタイミングによっては、会社設立初年度から青色申告を適用できるため、届け出ておくことをお勧めします。
会社設立時の青色申告承認申請書の提出期限と提出先
会社を設立したときに、開業届をはじめ多くの届出を提出します。そのときに、青色申告承認申請書も提出しましょう。設立初年度から適用を受けたい場合、株式会社であれば、設立の日以後3カ月を経過した日と事業年度終了日の前日までのいずれか早い方が提出期限です。提出先は、会社の本店所在地を管轄している税務署です。
会社を設立し青色申告を適用すると必要になる要件
青色申告承認申請書が受理されれば「あとは何もする必要がない」というわけではありません。青色申告は、要件を満たしていないと「取消し」されます。一度取消されると、再度承認されることは難しいため注意が必要です。必要な要件は以下のとおりです。
- 帳簿書類の備付けが法令の定めに従っていない
- 帳簿書類が税務署長の指示に従っていない
- 帳簿書類の内容が適切ではない
- 法定期限までに税務申告をしなかった
帳簿書類の備付けが法令の定めに従っていない
帳簿書類の備付けとは、記録や保存を指しています。厳密には「帳簿」と「書類」の2種類に分かれます。それぞれの内容については以下のとおりです。
帳簿に該当するもの |
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総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳・売上台帳・仕入台帳など |
書類に該当するもの |
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貸借対照表・損益計算書・棚卸表・注文書・領収書・契約書など |
また、これらの帳簿書類は保存期間も決まっており、以下のとおりです。
- 帳簿・・・7年
- 書類・・・決算関係書類及び現金預金取引等関係書類は7年、その他の書類は5年
ただし、欠損金が発生した場合には、それを証明できるものが必要になるため保存期間は伸びると考えておくと良いでしょう。
あわせて、電子帳簿保存制度に対応しておくことも有効です。すでに開始されている制度ですが、会社設立準備と一緒に行うことで、事業をスタートする時点からスムーズに帳簿書類の管理ができます。
まとめ
会社を設立したら、青色申告承認申請書も提出しておきましょう。開業届などと一緒に提出しておくことで、さまざまな特典を受けることができます。個人事業主だけではなく、法人企業にとってもメリットが多い青色申告です。
また、帳簿書類の保存についても確認しておくことで「青色申告の取消し」も未然に防止できます。会社設立時に準備しておくことで、事業開始後の管理がラクになります。
会社設立時に必要な書類や、管理方法などに疑問を感じたら、ぜひご相談ください。書類に関することだけではなく、設立後の経営に必要なアドバイスもご提供します。