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2026年 03月 22日 起業・開業

飲食店を開業するなら個人と法人どっち?|滋賀で飲食店を始めるときの判断基準

飲食店を開業するなら個人と法人どっち?|滋賀で飲食店を始めるときの判断基準

 

飲食店の開業で「個人か法人か」は最初に決める問題

飲食店を開業するとき、多くの方がまず悩むのが「個人事業主として始めるか、会社を作って始めるか」です。

この選択は税金の金額、融資の受けやすさ、営業許可の手続きなど、開業後の経営全体に影響します。後から変更(法人化)もできますが、登記費用や許認可の再取得が必要になるため、最初の段階で正しく判断しておくほうが効率的です。

滋賀県では草津・守山・大津エリアを中心に飲食店の新規開業が活発です。近江牛や発酵食品など地域の食材を活用した店舗も増えています。この記事では、滋賀で飲食店を開業する方に向けて、個人と法人のどちらを選ぶべきかを4つの観点から解説します。

GrowUp税理士法人でも、草津・大津エリアの飲食店開業に関する相談を頻繁にいただいています。開業前の段階で「個人と法人のどちらが良いか」を相談される方が多い印象です。

 

観点①:税金面での比較

個人事業主と法人で最も差が出やすいのが税金です。

個人事業主の場合

個人事業の所得には所得税(5%〜45%の累進課税)と住民税(約10%)がかかります。所得が低いうちは税率も低いため、開業初期は個人事業主のほうが税負担は軽くなるのが一般的です。

また、個人事業主は開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出するだけで開業でき、費用もかかりません。青色申告を選べば最大65万円の控除が受けられます。

法人の場合

法人には法人税(資本金1億円以下の中小法人は所得800万円以下の部分が15%、超えた部分が23.2%)よ法人住民税がかかります。法人住民税の均等割は赤字でも年間約7万円(最低額)が発生します。

一方で、法人は経営者本人の給与(役員報酬)を経費にできるため、「法人の利益」と「個人の給与所得」に分散して課税される仕組みになります。所得が一定顝を超えると、この分散効果で法人のほうが税負担が軽くなります。

判断の目安

一般的には、飲食店の所得(売上から経費を引いた利益)が年間600万〜800万円を超えるあたりから、法为のほうが税金面で有利になるケースが多いとされています(マネーフォワード クラウド会社設立)。ただし、家族構成や他の所得の有無によっても変わるため、シミュレーションで比較することが大切です。

 

観点②:営業許可・許認可の手続き

飲食店の営業には食品衛生法に基づく営業許可が必要です。個人と法人で許可の取得手続きに大きな違いはありませんが、いくつか注意点があります。

食品衛生責任者の配置

個人・法人を問わず、飲食店には食品衛生責任者を1名以上配置する義務があります。調理師免許がなくても、都道府県が実施する食品衛生責任者養成講習会を受講すれば取得できます。滋賀県では、滋賀県食品衛生協会が定期的に講習会を開催しています。

営業許可の名義

個人事業で営業許可を取得した後に法人化すると、許可の名義変更ではなく「新規取得」が必要になります。つまり、保健所への申請をもう一度行う必要があるということです。後から法人化する可能性が高い場合は、最初から法人で許可を取得するほうが手間が省けます。

酒類販売免許

店内で酒類を提供する場合、営業許可の範囲内で対応できるため酒類販売免許は不要です。ただし、テイクアウトや通販で酒類を販売する場合は、別途「一般酒類小売業免許」の取得が必要です(国税庁 酒類販売免許Q&A)。

 

観点③:融資・資金調達での違い

飲食店は内装工事・厨房設備・食材の仕入れなど、開業時の初期投資が比較的大きい業種です。自己資金だけでまかなえない場合、金融機関からの融資を利用することになります。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、個人・法人のどちらでも利用できます。融資の審査では「事業計画の具体性」「自己資金の額」「業界経験」が重視されるため、個人か法人かは審査の決定的な差にはなりません。

民間金融機関の融資

滋賀銀行・関西みらい銀行・滋賀中央信用金庫などの地元金融機関で事業融資を受ける場合、法人のほうが信用力の面でやや有利に働くことがあります。特に複数店舗の展開や大型の設備投資を予定している場合は、法人格があったほうがスムーズです。

とはいえ、1店舗目の小規模開業であれば、個人事業主でも十分に融資を受けられるケースが大半です。会社設立後の法人口座開設についてはこちらの記事も参考にしてください:会社設立後の法人口座はどこで開く?滋賀の銀行・信用金庫・ネット銀行を徹底比較

実際に、個人事業主として日本政策金融公庫から1,000万円程度の創業融資を受けて飲食店を開業されたお客様の実績があります。事業計画の作り込みと業界経験の整理をしっかり行えば、個人事業主でも十分な融資を受けられるケースは珍しくありません。

 

観点④:消費税と軽減税率

飲食店の経営で避けて通れないのが消費税の扱いです。

消費税の免税期間

資本金1,000万円未満で設立した法人は、原則として設立後2期分(最大2年間)は消費税が免税になります。個人事業主も開業後2年間は免税になるのが原則です。

ただし、以下のケースでは免税にならない点に注意が必要です。

特定期間の判定: 法人の場合、設立1期目の上半期(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超え、かつ同期間の給与支払額が1,000万円を超える場合は、2期目から課税事業者になります(消費税法第9条の2)。飲食店は開業直後から売上が立ちやすい業種なので、人気店では1期目の後半で課税売上高が基準を超えることがあります。なお、課税売上高の代わりに給与支払額で判定することも可能です。

インボイス登録との関係: インボイス制度の登録をした場合は免税事業者ではなくなるため、上記の免税メリットは使えません。飲食店の場合、仕入先(食材卸・酒類業者など)からインボイスの発行を求められる場面は少ない(お客様がBtoCの個人消費者であれば不要)ですが、法人の宴会・接待利用が多い店舗や、卸売・ケータリングを行う場合はインボイス登録が事実上必要になるケースがあります。免税期間のメリットを取るか、インボイス登録で取引先の信頼を取るか、事業内容に応じた判断が求められます。

軽減税率の経理処理

飲食店では、店内飲食(イートイン)に標準税率10%、テイクアウトに軽減税率8%が適用されます(POS+(ポスタス)の解説)。酒類はどちらの場合も10%です。

テイクアウト対応の飲食店は、日常的に10%と8%が混在する売上を処理する必要があります。個人・法人を問わず会計処理の手間は同じですが、法人のほうが税理士と顧問契約を結んでいるケースが多く、軽減税率の処理ミスが起こりにくい傾向があります。

 

結局どちらを選ぶべきか:判断フローチャート

以下の条件に当てはまるかどうかで、おおまかな方向性がわかります。

個人事業主で始めるのが向いているケース:

  • 1店舗目の小規模開業(席数20席以下・従業員数名程度)
  • 開業資金が500万円以下で、自己資金+公庫融資で足りる
  • 年間の見込み所得が600万円以下
  • 開業費用をできるだけ抑えたい

最初から法人で始めるのが向いているケース:

  • 共同経営者がいる、または出資者が複数いる
  • 開業時点で年間所得800万円以上が見込まれる
  • 2〜3年以内に複数店舗の展開を計画している
  • 民間金融機関から大型融資を受ける予定がある

迷った場合は、まず個人事業主で開業し、所得が一定額を超えた時点で法人化(法人成り)するのが一般的な方法です。迷った場合は、開業前に税理士に相談してシミュレーションを行うのが確実です。

飲食店の開業、個人と法人で迷っていませんか?

税理士法人GrowUpは滋賀県草津市に拠点を置いており、草津市・大津市・守山市・栗東市・彦根市・近江八幡市など滋賀県全域の会社設立をサポートしています。

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