会社設立の目安は?売上や所得がいくら以上になったら?
売上が1000万円以上になったり、所得が900万円以上になったりすると、会社設立の検討を始めます。
ということは、これらの金額が会社設立の目安なわけですが、なぜその金額になるのでしょうか。
今回は会社設立をする売上や所得の目安、会社設立をするタイミングなどを中心に説明していきます。
売上が伸びている個人事業主の方は、ぜひ最後までお読みいただき会社設立をするか否か、検討をされてくださいね。
目次
会社設立とは
会社設立とは読んで字のごとく、会社を設立すること。
しかし会社と一言で言っても、会社には以下の4種類があります。
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
しかしこの中でも、会社の債務を無限に負う責任のある合資会社と合名会社での法人成りは、近年ほとんど見受けられません。
ですから今回の記事では、株式会社か合同会社の会社設立について紹介していきましょう。
会社設立の売上目安:1000万円?
個人事業主でも会社でも、売上1000万円達成は一つのターニングポイントとなります。
なぜなら年間売上高が1000万円を超えると、その2年後には消費税申告をしなければならないからです。
消費税申告義務について、少し詳しく解説していきましょう。
消費税申告は、会社設立で2年延ばせる
例えば令和3年度に売上1000万円を超えた場合、令和5年度は消費税申告の義務があります。
また消費税申告義務の有無は2年前の年間売上高を確認するため、この例では令和4年度は免税事業者でいられます。
そして「2年前の売上を確認する」という制度を利用すると、消費税申告をもう2年先延ばしにできます。
- 令和3年度:個人事業主で年間売上1000万円突破
- 令和4年度:令和2年度の売上を確認するため、免税事業者のまま
- 令和5年度:会社設立すると、会社の令和3年度売上はないため、免税事業者でいられる
- 令和6年度:会社での令和4年度の売上がないため、免税事業者
- 令和7年度:令和5年度に会社で売上1000万円超えていれば、課税事業者
このように、個人事業主のままでいれば消費税申告の必要があったはずなのに、令和5年度に会社設立した場合には消費税申告が令和7年度からになるのです。
インボイス制度開始で、1000万円は関係なくなる?
最近の消費税申告の動向として、令和5年10月1日からインボイス制度が始まります。
これは簡単に言ってしまえば、課税事業者を増やすための政策です。
課税事業者でなければ損をしてしまう可能性がある制度なので、売上1000万円を超えていなくても課税事業者となる個人事業主が増えるでしょう。
そのためインボイス制度開始以降、「売上1000万円突破で会社設立」という流れは少なくなるかもしれません。
インボイス制度については、関連記事(2023年10月開始!インボイス制度をわかりやすく解説&対策は?)を参考にされてください。
会社設立の所得目安:700万円?
個人事業主の所得税率は、5~45%となります。
対して法人税率は15~23.3%です。
そのため所得が700万円以上(所得税23%)になってくると、会社設立を検討する方が多くなります。
会社設立には金銭的な負担が多くある
ただ会社設立をすることによって、税金以外の金銭的な負担が増えます。
- 会社設立自体に数十万円かかる
(関連記事:会社設立は自分でできる!でもプロに委託した方が安いって本当?)
- 一人社長ないしは家族で経営の場合、社保が役員報酬の約30%に
(サラリーマンなら会社負担分と自己負担分で分かれるため、自己負担15%のみ。
さらに個人事業主の間は国民年金のため、厚生年金とは圧倒的な料金差がある)
- 決算公告の掲載に年間約7万円以上
- 法人税申告などの申告のために顧問契約すると年間数十万
などなど、様々な場面で細々と必要になってきます。
所得税は累進課税制度
さらに所得税は累進課税制度ですから、年間所得が900万円になったからといってすべての所得が33%となるわけではありません。
実際には所得900万円なら、支払税金は900万円×33%―153万6千円=143万4千円ですので、実際の税率は約16%です。
これだけ見れば法人税とさほど変わりません。
また個人事業主にとって事業税も大きな負担ですが、会社設立しても法人事業税がかかりますので、こちらも負担となります。
年間所得が1200万円超えで、会社設立を検討すべし
以上のことから、会社設立を検討する目安としてお勧めなのは、年間所得1200万円(支払所得税が約20%)を超えてきたあたりになります。
このくらいの所得になってくると経費も売上も規模が大きくなっていますので、顧問税理士も雇ったほうが安心ですし、社会保険料の負担へも余裕が出てくることでしょう。
まとめ
- インボイス制度開始で、年間売上高1000万突破は会社設立の目安になりづらい
- 所得1200万円を超えてきたら、会社設立の検討を始めるべき
ここまで会社設立のタイミングの目安について、詳細に解説しました。
会社設立は設立して終わりではなく、その後も色々と作業が必要ですし、お金もかかります。
ですから安易に会社設立!とされてしまうと、「思っていたのと違う…」となる可能性も否定できません。
ぜひ私ども税理士事務所GrowUpへご連絡いただければ、今後の会社設立のタイミングのご相談も承ります。
会社設立のタイミングは本当に大事な部分ですから、しっかりと一緒に考えていければと思います。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。