4月に会社設立するなら設立日は何日がいい?|決算期・届出期限・消費税免税から考える

目次
4月は起業が最も多い月。だからこそ設立日選びが大事になる
年度替わりの4月は、会社を設立する人が1年で最も多い時期だ。退職して独立する、個人事業を法人化する、新年度から新しい事業を始める——理由はさまざまだが、「4月に会社を作ろう」と決めた方が次に迷うのは「何日に設立するか」という問題である。
会社設立日は法務局に登記申請書を提出した日(オンライン申請の場合は受付日)になる。2026年2月からは土日祝日でも設立日を選べるようになったため、日付の選択肢は以前より広い。
設立日が1日違うだけで、法人住民税の均等割が変わり、消費税の免税期間にも差が出る。届出書の提出期限にも影響する。4月開業を予定しているなら、設立日を決める前にこの記事を読んでおいてほしい。
GrowUpにも4月設立の相談は多いが、設立日を決めてくる方がほとんどだ。ただし、特にこだわりがないという方も一定数いるため、そうした場合は税金面の有利・不利を踏まえたうえで日程を一緒に検討している。
設立日で変わる3つの税金ポイント
①法人住民税の均等割は「月割り」で計算される
法人住民税の均等割は、事業年度中に事業所が存在した月数で月割り計算する。このとき、1ヶ月未満の端数は切り捨てになる(地方税法第312条第6項)。
たとえば4月1日に設立して3月決算にした場合、第1期は「4月1日〜翌3月31日」のちょうど12ヶ月になり、均等割は12ヶ月分かかる。
一方、4月2日に設立すれば、第1期は「4月2日〜翌3月31日」で11ヶ月と29日。1ヶ月未満の端数は切り捨てだから、均等割は11ヶ月分で済む。
資本金1,000万円以下・従業員50人以下の法人の場合、均等割の年額は県民税2万円+市民税5万円(標準税率)=7万円が一般的。1ヶ月分の差は約5,800円。大きな金額ではないが、設立日を1日ずらすだけで得られる節約だ。
②消費税の免税期間は決算月の設定で変わる
資本金1,000万円未満で設立した法人は、原則として設立後2期目まで消費税が免除される(消費税法第12条の2)。この免税期間を最大限に活かすには、第1期の事業年度をできるだけ長くすることがポイントになる。
具体的には、設立月の前月を決算月にするのが基本だ(freee「法人成りをすると最長2年間は消費税が免除」)。
4月に設立するなら、決算月は3月にする。すると第1期は「4月〜翌3月」のほぼ12ヶ月間、第2期も「4月〜翌3月」の12ヶ月間で、合計約24ヶ月間の免税が得られる。
逆に、4月設立で12月決算にしてしまうと、第1期は「4月〜12月」の9ヶ月間しかない。免税期間の合計は9ヶ月+12ヶ月=21ヶ月間で、3月決算に比べて約3ヶ月短くなる。
ただし、特定期間(設立1期目の前半6ヶ月間)の課税売上高と給与支払額がともに1,000万円を超える場合は、2期目から課税事業者になる点に注意が必要だ。また、インボイス発行事業者に登録した場合は免税の適用がない。
③届出書の提出期限は設立日が起算日になる
会社設立後に税務署に提出する届出書のうち、提出期限が「設立日から○日(○ヶ月)以内」と決まっているものがある。設立日が変わると、期限も変わる。
| 届出書 | 提出期限 | 4月1日設立の場合 | 4月15日設立の場合 |
|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 設立日から2ヶ月以内 | 5月31日 | 6月14日 |
| 青色申告承認申請書 | 設立日から3ヶ月以内 or 事業年度終了日の前日(早い方) | 6月30日 | 7月14日 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 設立日から1ヶ月以内 | 4月30日 | 5月14日 |
| 源泉所得税の納期の特例承認申請書 | 随時(早めの提出が有利) | — | — |
青色申告承認申請書は、期限を1日でも過ぎるとその事業年度は白色申告になる。青色申告の次損金繰越控除(最大10年)や少額減価償却資産の特例が使えなくなるため、影響が大きい。設立日を決めたら、すぐにカレンダーに届出期限を書き込んでおくことを勧める。
GrowUpでは設立から関わることが多いため、青色申告承認申請の期限を過ぎてしまうケースはまずないが、それでも早い段階で税理士に相談しておくことを勧めている。設立後の届出は種類も多く、期限管理だけでも手間がかかるためだ。
4月設立で3月決算にする場合の具体的なスケジュール
4月設立・3月決算の組み合わせで、実際にどう進むかを時系列で整理する。
4月2日(設立日)
- 法務局に登記申請。会社設立完了
- 登記完了後、登記事項証明書を取得する
4月中
- 法人設立届出書を税務署・県税事務所・市役所に提出
- 給与支払事務所等の開設届出書を税務署に提出(期限:5月1日)
- 法人口座の開設手続きを開始(会社設立後の法人口座はどこで開く?も参照)
- 社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続き
7月1日まで
- 青色申告承認申請書を税務署に提出(設立日から3ヶ月以内)
翌年3月31日
- 第1期の決算日
翌年5月31日まで
- 法人税・法人住民税・法人事業税の確定申告・納付(決算日から2ヶ月以内)
- 消費税の申告は免税なら不要
第1期は11ヶ月29日間。消費税免税、均等割は11ヶ月分。第2期(翌4月1日〜翌々3月31日)も12ヶ月間フルで免税が続く。
「4月1日設立」と「4月2日設立」の差顝を比べてみる
両者の税金面の違いを数字でまとめる。前提条件は、資本金500万円・従業員5人・3月決算・滋賀県草津市に本店を置く株式会社とする。
| 項目 | 4月1日設立 | 4月2日設立 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 第1期の法人住民税均等割 | 7万円(12ヶ月分) | 約6.4万円(11ヶ月分) | ▲約5,800円 |
| 消費税免税期間 | 24ヶ月 | 23ヶ月29日 | ほぼ同じ |
| 青色申告承認申請書の期限 | 6月30日 | 7月1日 | 1日の余裕 |
差額は大きくないが、4月2日設立のほうがわずかに有利だ。均等割で約5,800円の節約、届出期限もほんの少し余裕がある。一方、消費税免税期間はほぼ変わらない(1日の差)。
なお、4月1日は「キリがいい」「覡えやすい」という理由で選ぶ方も多い。税金面の差よりも記念日としての意味を優先するのも一つの判断だ。
実際、定款の内容に関する相請は多く、設立日についても「何日がいいですか?」と聞かれることがよくある。GrowUpでは納得いくまで相請に乗るようにしている。
まとめ
4月に会社を設立するなら、設立日と決算月の組み合わせで税金が変わる。消費税の免税期間を最大にしたいなら決算月は3月(設立月の前月)に設定する。法人住民税の均等割を1ヶ月分節約したいなら4月1日ではなく4月2日以降に設立する。どちらも大きな金額差ではないが、設立日を決める前に知っておいて損はない。届出書の提出期限は設立日が起算日になるため、設立後は青色申告承認申請書の期限(3ヶ月以内)を最優先で管理してほしい。
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