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2020年 11月 25日 起業・開業

起業後の社会保険任意継続について

会社員から個人事業主として起業される方にとって心配なことの1つが、退職後の社会保険ではないでしょうか。
退職すると、それまで加入していた健康保険については、以下の3択となります。

 

1.国民健康保険に加入する
2.家族の被扶養者として、家族の勤務先の健康保険に加入する
3.会社の健康保険にそのまま加入する

 

今回は、3つ目の会社の健康保険にそのまま加入する「任意継続」の制度について解説します。

 

 

社会保険の任意継続とは

社会保険(健康保険)の任意継続とは、会社の健康保険に加入していた人が退職し、健康保険の加入資格を失うときに利用できる制度です。
利用することで、会社が加入していた健康保険に引き続き2年加入することができます。
ただし、以下の2点が条件です。

 

・継続して2ヶ月以上加入期間があること
・退職日の翌日から20日以内 に申請すること

 

ちなみに厚生年金保険には任意継続の制度はありません。
退職した後は、自身で国民年金に加入する(=第1号被保険者になる)、会社の厚生年金に加入している夫や妻の被扶養者として加入する(=第3号被保険者になる)のいずれかとなります。
第3号被保険者であれば保険料の支払いを求められることはありませんが、健康保険と違って「配偶者」の被扶養者にしかなれない点に注意が必要です。

社会保険の任意継続を利用するときの保険料

多くの中小企業が加入する「協会けんぽ」の健康保険であれば、退職時の標準報酬月額に保険料率をかけた金額が、任意継続をしたときの毎月の保険料になります。
標準報酬月額が30万円を超えている場合は、30万円から算出した保険料(月額3~4万円ほど)が上限となります。
都道府県によって保険料率が若干異なりますので、気になる方は以下の協会けんぽのサイトからご自身の都道府県の保険料率をご確認ください。
【参考】協会けんぽ「令和2年度保険料額表」

 

保険料は基本的に2年間変わりませんが、途中で40歳を迎えて介護保険の対象になったり、保険料率の異なる都道府県に引っ越したりすると変わります。

被扶養者の適用もできる

任意継続を適用した人の家族は、収入要件等を満たすことによって被扶養者として保険に加入することができます。

2年間は脱退できない

社会保険の任意継続を選択した後に家族の扶養に入れることになったとしても、2年間は任意継続をやめることができません。
国民健康保険に入ることもできないため、よく検討して選ぶことが大切です。

国民健康保険とどちらが安い?

冒頭の3つの選択肢のうち、もっとも保険料の負担が少ないのは家族の被扶養者になることです。
しかし、これは見込み収入の要件を満たさなければならないため利用できない方も多いでしょう。
多くの方は、2年だけ任意継続を利用するか、最初から国民健康保険にするかで迷うはずです。
この2つについて保険料を比べるなら、国民健康保険は自治体の窓口に相談してシミュレーションすることをおすすめします。
理由は、家族の加入状況で増える保険料が変わるからです。
そもそも国民健康保険は、「世帯」ごとに保険料が計算されます。
保険料の内訳は、以下の3つに区分され、この合計が世帯主に請求されます。

 

1.平等割(1世帯ごとにかかる)
2.均等割(被保険者1人に対してかかる)
3.所得割(世帯の全被保険者の所得に対してかかる)

 

国民健康保険には扶養という概念がないため、世帯に所得の少ない被保険者がいても保険料の計算対象となります。
また、所得に関係なく発生する平等割・均等割があることから、所得が少なくても一定の負担が生じることに注意が必要です。
参考までに、大津市では平等割・均等割のみで、1人世帯で年間約8万円 かかる計算になります。
【参考】大津市「国民健康保険 国民健康保険料の算定について」

 

ただし無制限に上がるわけではなく、平等割・均等割・所得割の合計で年間約100万円 が1世帯あたりの上限となります。
なお国民健康保険は、前年から所得が減少すると自治体に相談することで、保険料の減免を受けることが可能です。
この点も踏まえ、起業後の健康保険を国民健康保険と比較したいときは、自治体の窓口に相談してシミュレーションすることをおすすめします。