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2021年 03月 02日 起業・開業

起業したら住民税トラップには気を付けよう!

サラリーマンから独立して起業した後、よく「めちゃくちゃ高い住民税の徴収に驚いた!」という方がいらっしゃいます。住民税は徴収までにタイムラグがあるため、独立後は覚悟が必要です。

個人の住民税とは

私たちは、住所を有する市町村に「住民税」を納める義務があります。
サラリーマンであっても、個人事業主であっても、法人の経営者であっても、所得のあるすべての個人に共通する義務です。
なお、1月1日時点で住所のあった市町村が徴収しますので、必ずしも今住んでいる市町村に納税するわけではありません。

サラリーマンの給与にかかる住民税のしくみ

住民税は、1月1日から12月31日までの個人の所得に対してかかります。
所得税の対象となる所得と同じです。
サラリーマンの場合、毎月の給与から住民税が天引きされるケースが多いと思います。
これは、市町村が会社を通じて従業員から住民税を徴収する「特別徴収」という方法によるものです。
この「特別徴収」が今回の話のポイントですので、先に説明します。
そもそも住民税の金額は、翌年1月に会社から市町村に提出する「給与支払報告書」などの情報をもとに市町村が計算します。
そして特別徴収の場合、会社を通じて住民税を徴収しますので、市町村から会社に対して対象となる従業員1人1人の住民税の金額を通知します。
通知される住民税の金額は、市町村によってあらかじめ12分割されています。
会社はこれに従って、令和3年6月から令和4年5月までの12ヶ月間 、給与から住民税を天引きし、それを市町村に納めているのです。

住民税の3つのトラップ

ではなぜ起業すると「めちゃくちゃ高い住民税の徴収に驚いた!」ということになるのでしょうか。
その原因となる「住民税の3つのトラップ」をお伝えします。

トラップ1:会社員時代の住民税を負担しなければならない

特別徴収によってサラリーマンは、前年分の所得から計算された住民税が月給から天引きされます。
通常、給与が前年から大きく下がるということはありませんので、収入に対する住民税の負担は例年あまり変わらないものとなります。
しかし、独立してすぐにサラリーマン時代の収入を超えられる方は多くありません。
すると独立後の収入に対し、サラリーマン時代の所得から計算された住民税の負担が非常に重くなるのです。
3月いっぱいで退職した方であれば、1月から3月の住民税が徴収されるのはさらに翌年となるため、起業後2年目もサラリーマン時代の所得の影響を受けた住民税を納めなければなりません。
たった3ヶ月でも、収入の落差が大きい場合は大変です。

トラップ2:普通徴収で年4回払いになる

個人事業主として起業する場合や、法人で起業しても特別徴収義務者 にあたらない場合は「普通徴収」という方法で自身の住民税を納めることになります。
普通徴収の納税額は、1年で12分割ではなく4分割ですから、1回あたりの納税額がかなり高くなるため驚く方が多いです。
普通徴収の納期限は、例外もありますが6月、8月、10月、翌年1月 の4回になります。(地方税法第320条)
なお退職するときにまだ天引きが終わっていない住民税は、最後の給与などからまとめて天引き(以下、「一括徴収」)できます。
そのため注意が必要なのは、基本的には起業して最初に迎える6月から納める住民税になります。
ただし6月1日から12月31日の間に退職するときは、退職者の希望がないと一括徴収は行われません。一括徴収がなければ未納分については、退職後にやってくる納期から普通徴収が始まります。(地方税法第321条の5第2項、同法第321条の7第1項)

トラップ3:サラリーマンは自身の税額に関心が薄い

サラリーマン時代に自身の住民税の金額を把握し、起業に備えてiDeCoやふるさと納税などで納税額の減少に努めていたという方は少数派ではないでしょうか。
サラリーマンは自身で税金を計算しない上、納税も給与から天引きされるため、何の税金をいくら納めているか、関心をもつ機会が少ないといえます。
このことが「めちゃくちゃ高い住民税に驚いた!」となる一番の原因かも知れません。

住民税の納税が難しいときは

住民税の納税が難しいときは、住民税の減免申請を検討しましょう。
大津市の場合は、その年の所得の見積額が前年中の所得の2分の1以下に減少した方のうち、一定の所得要件などを満たす方については、減免の対象になるとされています。
【参考】 大津市「個人市民税・県民税 税の減免について」
利用したい場合は、納税する前に早めにそれぞれの市町村にご相談ください。