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2026年 03月 19日 起業・開業

会社設立後の役員報酬はいくらにすべき?税金と社会保険を考慮した決め方を滋賀の税理士が解説

会社設立後の役員報酬はいくらにすべき?

 

導入:滋賀で起業した社長が最初に迷うこと

会社を設立したばかりの経営者から、必ずといっていいほど聞かれる質問があります。「役員報酬は、月いくらに設定すればいいですか?」

会社設立手続きが完了して法人化した直後、個人事業の時と違う新しい課題が出てきます。それが役員報酬の決定です。個人事業主のとき「売上 – 経費 = 利益」として自由に自分の取分を決められたのに対し、法人では「役員報酬」という形式で経営者が報酬を受け取ります。

滋賀県で起業する人の多くは、この決定を誤ると「税金を余分に払ってしまった」「社会保険料が想定より高かった」という後悔を抱えることになります。実は、役員報酬の額は、会社の利益を計算する上で最も重要な経費の一つであり、同時に経営者個人の所得税・社会保険料を大きく左右する決定なのです。

この記事では、会社設立直後の経営者が押さえるべき役員報酬の決め方を、税金と社会保険の両面から具体的に解説します。

私たちの事務所では、個人で会社を設立されたお客様とご契約いただいた後、最初に一緒に取り組むのがこの「役員報酬をいくらにするか」という問題です。設立直後はまだ売上の見通しが立ちにくく、金額の決め方に迷われる方がほとんどです。

 

役員報酬は、なぜ難しい決定なのか

役員報酬の決定が難しい理由は、シンプルです。会社の利益と経営者個人の手取りの両方に影響する からです。

1. 会社の利益を決定する最大の経費

役員報酬は、会社の経費として扱われます。つまり、売上から経費を引いて会社の利益を計算するときに、役員報酬を大きく計上すれば、会社の利益は小さくなり、法人税が下がります。

逆に役員報酬を低く抑えれば、会社に利益が残りやすくなり、法人税が高くなります。

2. 経営者個人の所得税が変わる

受け取った役員報酬は、経営者個人の給与所得になります。つまり、役員報酬が高いほど、経営者個人の所得税が上がります。

3. 社会保険料は役員報酬と連動

厚生年金・健康保険などの社会保険料は、役員報酬をベースに算出されます。役員報酬が高いほど、社会保険料も高くなります。

このように、役員報酬は「会社の税負担」「経営者の所得税」「社会保険料」という三つの要素にバランス良く影響する決定なのです。

当事務所では、銀行融資の観点も踏まえて役員報酬を決めていきます。法人に利益をしっかり残せるよう、税金・社会保険料・経営者の生活資金などを総合的にヒアリングし、最適な金額を一緒にシミュレーションしていく流れで進めています。

 

起業家がよく陥る「役員報酬の3つの誤解」

誤解1:利益を会社に残すために、役員報酬を低くしたい

「会社にお金を貯めたい」という意図から、役員報酬を低く設定する経営者がいます。しかし、これは一見、合理的に見えて実は損です。

理由:低い報酬では、経営者個人の手取りが減り、生活資金が足りなくなります。その結果、会社から現金を引き出す際に、役員貸付金という形で個人的な借入を増やしてしまうケースが多く見られます。税務調査で指摘されるリスクも高まります。

誤解2:売上が少ないので、役員報酬も低くていい

「売上が月50万円だから、報酬は20万円」というように、売上と報酬を単純に連動させてしまう経営者もいます。

しかし、重要なのは売上ではなく、経費を差し引いた後の利益がいくらか です。売上が50万円でも、経費が30万円なら利益は20万円。報酬20万円では、会社に利益が残らず、法人税も発生しません。一方、売上が100万円でも経費が80万円なら、利益は20万円。同じ構造です。

誤解3:「適正な役員報酬」は固定値だと思っている

世間一般で「中小企業の役員報酬の平均は月30万円」「売上の10%」といった相場情報が出ていますが、これらはあくまで目安であって、正解ではありません 。会社の段階、事業内容、個人の生活費ニーズなど、複数の要素で最適な額は変わります。

 

役員報酬を決める際の基本的な考え方

では、どうやって役員報酬の額を決めるのか。税理士としてアドバイスする際の基本的な枠組みを説明します。

ステップ1:経営者個人の生活費から逆算する

最初に抑えるべきポイントは、経営者本人が毎月必要とする最低限の生活費 です。家賃、食費、子どもの教育費、ローン返済など、毎月の固定的な支出を把握します。

この額を下回る役員報酬では、生活が成り立たず、会社から無理に金を引き出す行為につながります。

ステップ2:会社の実績と予測から利益を見積もる

次に、会社がどれくらいの利益を生み出せるのかを把握します。

  • 設立初年度は予測 :初年度決算までまだ時間がある場合は、事業計画書の売上見積もりから逆算します
  • 2年目以降は実績 :前年度の決算数字から、今年度の利益を予測します

利益 = 売上 – 経費(役員報酬を含まない経費)

ステップ3:税金と社会保険の負担を試算する

役員報酬候補を複数挙げて、それぞれについて以下を試算します。

  • 法人税の負担 :会社の利益に対する税率(法人税・都道府県民税・市区町村民税)
  • 所得税の負担 :役員報酬に対する税率(累進課税。所得が高いほど税率も上がる)
  • 社会保険料 :厚生年金・健康保険。報酬額の約15%程度

このシミュレーションを行うことで、「報酬月30万円と月40万円では、手取りにいくら差が出るのか」「会社に残る利益はいくらか」が明確になります。

 

滋賀県で会社設立した経営者向け:役員報酬の実例

滋賀県内で会社設立をサポートしてきた経験から、業種別・段階別の役員報酬の相場感を紹介します。

設立初年度(赤字覚悟)の場合

初年度は営業活動に集中し、売上がまだ少ないステージです。この段階では、役員報酬を「最低限の生活費+α」程度に抑え、会社のキャッシュフローを優先するケースが多いです。

  • 目安:月15万〜25万円
  • ポイント:完全に0円は避ける(税務調査対策として、給与支払実績が必要)

設立2年目以降(黒字化)の場合

事業が軌道に乗り始めた段階です。この時点で初めて「最適な報酬額」を検討します。

  • 目安:月30万〜50万円(利益が月20万〜40万円の場合)
  • ポイント:会社の利益と経営者の手取りのバランスを考慮

収益が安定した段階

売上が月200万円以上、利益が月50万円以上となった段階では、役員報酬をより柔軟に設定できます。

  • 目安:月50万〜100万円以上
  • ポイント:決算の数か月前に専門家に相談し、税負担を最適化

 

法人税と所得税のトレードオフ:なぜ「バランス」が大事か

役員報酬を決める際に最も重要な概念が、法人税と所得税のトレードオフ です。

役員報酬を高くした場合

メリット

  • 会社の利益が減り、法人税が下がる
  • 経営者の手取りが増える

デメリット

  • 個人の所得税が上がる
  • 社会保険料が上がる

役員報酬を低くした場合

メリット

  • 個人の所得税・社会保険料が下がる
  • 会社に利益が残る

デメリット

  • 法人税が上がる
  • 経営者の手取りが少ない

一般的には、法人税率(約30%)よりも個人の所得税率(+住民税で最大55%程度)の方が高い ため、総合的には「適度に高い役員報酬」を設定した方が、家計と会社の合計で見ると有利なケースが多いです。

しかし、これは会社の状況によって変わるため、必ず試算が必要です。

 

よくある質問:決定後に変更はできるか

「役員報酬を決めたのに、思ったより利益が出たので変更したい」「逆に赤字になりそうだから下げたい」という相談も多く受けます。

回答:可能ですが、タイミングが限定されます。

役員報酬は、通常「決算月から翌期の変更」が基本です。つまり、12月決算の会社なら、1月から新しい報酬額にできます。

ただし、決算月内に変更する場合は、税務上の制約が厳しくなり、税務調査で指摘されやすくなります。基本的には「決算から3か月以内に決定する」という税法上のルールがあるため、変更する場合も専門家に相談することをお勧めします。

 

滋賀の税理士だからこそ、お勧めする決定フロー

会社設立直後の役員報酬決定は、「税金の最適化」と「生活資金の確保」のバランスを取ることが重要です。

滋賀県で多くの起業家をサポートしてきた経験から、以下のフロー に沿って決定することをお勧めします。

  1. 生活費の把握 :経営者本人が毎月必要な最低額を確認(家族構成、住宅ローン、子どもの教育費など)
  2. 会社の利益予測 :事業計画書または前年度決算から、実現可能な利益を推定
  3. 複数案のシミュレーション :候補となる報酬額(月30万、月40万、月50万など)それぞれについて、税金・社会保険料を計算
  4. 総合判定 :会社と個人の合計納税額、手取り額を比較し、最適案を選定
  5. 決定・登記 :決定した報酬額を役員報酬決定書に記載し、登記や税務署への届出を完了
  6. 定期的な見直し :決算ごとに、翌期の報酬額を見直す

このプロセスを踏むことで、税務トラブルを避け、会社と個人の両方のキャッシュフローを最適化できます。

 

まとめ

会社設立後の役員報酬決定は、一度決めたら終わりではなく、事業の成長に応じて毎年見直す重要な経営判断です。

押さえるべきポイント:

  • 役員報酬は、会社の利益・経営者の所得税・社会保険料の三つに影響する決定
  • 「相場」や「売上の○%」ではなく、会社の実績と個人のニーズから逆算して決めるべき
  • 法人税と個人の所得税のトレードオフを理解し、総合的に最適化することが大事
  • 初年度は最低限の額、2年目以降は利益に応じて段階的に増やすのが現実的

この記事で解説した考え方に沿って役員報酬を決定すれば、「税金を余分に払ってしまった」「社会保険料が予想外」といった後悔を防げます。

滋賀県で会社設立をした経営者の皆さんが、最適な役員報酬決定を通じて、会社の成長と経営者の生活の両立を実現できることを願っています。

記事情報

 

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